衆議院 決算行政監視委員会 
  平成14年4月8日(月)


○肥田分科員 民主党の肥田美代子でございます。よろしくお願いいたします。
 昨年十二月でございますけれども、子ども読書活動推進法というのができまして、これは議員立法でございますが、国を挙げて子供の読書環境を整えていこう、そういうことになっております。この四月二十三日は読書の日ということになっておりますが、大臣もこのところ、たくさんの場所で、子供の読書の大切さをおっしゃっていただいております。本当に感謝を申し上げたいと思います。
 さて、きょう私は、弱視の子供の教科書の問題につきまして、私の意見、そして大臣がどう考えていらっしゃるか、それを意見交換させていただきたいと思っております。
 率直に申し上げますと、まことに恥ずかしいことなんですが、私は、弱視の子供たちが教科書の問題でこれほど悩んでいるということを最近まで知りませんでした。全盲の子供と晴眼の子供の間に生きているこの弱視の子供の存在に気づいていなかったわけですね。ですから、子供の教育条件を語る場合には、全盲の子供や晴眼の子供について触れることはあっても、弱視の子供について言及することがこの立法府としても本当に少なかったのではないかというじくじたる思いを私は持っております。もし、そのために、弱視の子供にとって読みやすい教科書をつくっていくとか学習条件の整備がおくれてきたのだとすれば、私たちはその空白を埋めるためにも、政治の力そして行政上の支援を行うことをちゅうちょしてはいけないと思います。
 日本のすべての子供は、国際人権規約そして子どもの権利条約、日本国憲法の定めるところにより、ひとしく教育を受ける権利が保障され、弱視の子供たちもまた例外ではないはずでございます。しかし、弱視の子供は、通常の教科書を読むことができず、立法府や行政府の支援がないまま、現在、自助努力でいわゆる拡大教科書を作成し、勉強しております。私たちは、この谷間から聞こえてくる小さな声を耳を澄ませて聞くことから始めなければいけないと思います。そうした思いからきょうは質問させていただきますので、よろしくお願いを申し上げます。
 私は、普通の教科書や点字を読めない弱視の子供にとって、いわゆる拡大教科書はなくてはならないものだと思っております。しかし、弱視児のために文部省が出版しております拡大教科書はありません。民間出版社や教科書会社から、拡大教材として小学生の国語、算数、中学生の国語、数学、英語が出版されているだけでございます。それ以外は拡大教材がないため、文字を大きく書き写しました拡大写本を子供自身が準備しなければならない、そういう現状がございます。また、一般教科書をルーペや拡大読書器といった補助具を使って読んでいる子供たちもおります。他方、全盲の子供が使う点字教科書は、国語、算数、数学、理科、社会、英語など、主要科目は文部科学省著作の教科書が発行されております。参考資料もそろっています。
 同じ視覚障害者でありながら、全盲と弱視の間にこれほど差があるということは、私たち立法府にかかわる者といたしましては、怠慢のそしりを免れないと思っております。
 こうした現状を大臣はどのようにごらんになっていらっしゃいますでしょうか。

○遠山国務大臣 一般的に、障害のある児童生徒につきましては、その可能性を最大限に伸ばして、自立して社会参加するために必要な力を培ってもらうということが大切でございまして、障害の種類、程度などに応じて、一人一人のニーズというものを考えながら、盲・聾・養護学校や特殊学級などにおいて特別な配慮のもとに、手厚く、きめ細かな教育を行うことが必要であるわけでございます。
 全盲の生徒については今御指摘のような手だてが既に講じられているわけでございますが、弱視の児童生徒につきましては、通常の検定教科書を使用して、弱視レンズなどの視覚補助具を用いて、持っている視力を活用して、上手な物の見方を育てるための特別な指導を主として行っているということでございます。一人一人の見え方に配慮した特別な指導ということでございますが、弱視の児童生徒が教育内容をよりよく理解するための一層の工夫も必要ではないかと考えております。

○肥田分科員 ところで、現在、盲学校の小学部、中学部、高等部と弱視学級に学籍を置く弱視児童生徒数はどのぐらいでありますか。また、盲学校や弱視学級以外の普通学校、それから普通学級で学ぶ弱視児童数はどのくらいでありますか。弱視児童は生徒全体の何割を占めているか、その数をお示しいただきたいと思います。

○矢野政府参考人 全国の盲学校長会が平成十三年度に行いました調査によりますと、盲学校の小学部に在籍する弱視の児童数は二百六十一人、中学部に在籍する弱視の生徒数は二百二十六人でございまして、合計で四百八十七人になります。また、弱視学級に在籍する児童生徒数は、小学校百三十人、中学校四十四人で、合計百七十四人となっているところでございます。
 なお、小中学校の普通学級における弱視の児童生徒数については把握をいたしておりません。

○肥田分科員 今お答えいただきましたように、盲学校それから弱視児学級に籍を置く弱視児童数が合計で六百六十一人でございますね。普通学校に通っている子供についてはまだ調査はなさっていない、そういうことでございますね。
 現在、公立の小学校に就学している児童数は七百十八万二千四百三十三人ですね。中学校に就学している生徒が三百七十二万四千七百十一人です。ですから、弱視の子供は本当に数が少ないんですね。全体からいきますと本当に微々たる数でございます。その少数の子供たちだからこそ、政治も行政も社会も、弱視の子供たちの現状について関心を持たなかったのかもしれません。
 その点、全盲の子供たちの教育問題は早くから注目されておりました。周囲で支える人々の長い努力によって点字教科書は整備されました。それに比べますと、弱視の子供たちやその関係者の発言の機会は本当に少なかった。また、その声も小さかったために、弱視児童生徒の学習条件の整備が大変おくれていたのではないかと思います。声が小さい子供たちだからこそ、立法府と行政府が力を合わせて、弱視の子供の多様な個性を尊重した学習条件を整えていくことが大切ではないかと思っております。
 文科省は弱視の子供の教育改善についてどのような方針をお持ちでしょうか。もし検討していらっしゃることがありましたら、お教えいただきたいと思います。

○矢野政府参考人 弱視の子供たちにつきましては、保有する視力を活用して上手な見方を育てるなど、その可能性を最大限に伸ばし、自立し、社会参加するために必要な力を培うことが大変大事であると考えているところでございます。
 このため、弱視の児童生徒は、視力は同じでもその見え方がさまざまであるなどの状況があるわけでございますので、そうした状況を踏まえまして、その教育につきましては、先ほど大臣からお話し申し上げましたように、通常の検定教科書を国として無償給与いたしまして、それについて弱視レンズや拡大読書器等の視覚補助具を用いて、一人一人の見え方に配慮した指導が行われているところでございます。
 また、各学校におきましては、そうした高機能の弱視レンズ、拡大読書器、さらには最新の情報技術を活用いたしました拡大教材製作機器の整備を促すなどの取り組みを進めているところでございまして、またさらに、今後でございますけれども、今後、拡大教科書の作成ノウハウ等、そうしたものについての作成方法の研究開発も進めてまいりたいと考えてございまして、こうした施策を通じまして、弱視の児童生徒に対する教育の一層の充実を図ってまいりたいと考えているところでございます。

○肥田分科員 今拡大ルーペとか拡大読書器を使ってというお話がございましたけれども、子供たちに聞いてみますと、やはり大変それが読みにくいと言うんですね。一度、大臣もルーペなんかでごらんになっていただいたらいいんですが、私も読んでみましたけれども、確かに読みにくいです。読みづらいです。
 ですから、弱視というハンディの上に、さらに読みにくい教科書を与えられるということで、速読ができない。さらには、読書不能を引き起こすような、そういう学習上のハンディが加わっておると思います。こうした二重のハンディを背負った子供たち自身の苦労、そして保護者やボランティアの皆さんは拡大教科書の作成に懸命に努力されていらっしゃいます。私たちの想像をはるかに超えた御苦労でございます。
 大臣はこの現状をどう評価され、拡大教科書の供給をボランティアに依存した姿をどのように受けとめておられるか、お願いいたします。

○遠山国務大臣 今お話を伺っておりますと、学校現場において大変御苦労があるということがだんだんわかってまいりました。教材の一部が保護者やボランティアの御協力によって作成され、実際に使用されていることもあると伺っておりまして、私どもとしても、こうした活動をできるだけ支援していきたいと考えます。
 御存じのように、今就学奨励費によって教材購入費の補助などを行っておりますが、今後は、全国盲学校長会あるいはボランティア関係団体などとも連携を図りながら、拡大教材の作成を簡便にするための具体的方策などについて検討を進めてまいりたいと考えます。

○肥田分科員 本当に今大臣がおっしゃったことなどなるべく早急に、そして積極的に進めていただきたいと思うんです。全国の盲学校において全盲の子供が点字教科書を手にしているように、弱視の子供が拡大教科書をひとしく手にできる、そういう教科書供給のあり方こそ当たり前の姿じゃないかと思うんですね。ぜひお願いしたいと思います。
 先ほどちょっと普通学校、普通学級に通う子供の調査ができていないというお話でございましたが、できれば、私どもの方にその調査結果も、後日で結構でございますのでお知らせいただきたいと思います。
 それで、次の質問に移らせていただきます。
 そこで、どこに問題点があったのか、今あるのかということでございますが、著作権法の三十三条で、著作物を教科用図書に掲載する場合、文化庁長官が毎年定める額の補償金を著作者に支払えば、許諾がなくても掲載することができます。しかし、法的な教科書は検定教科書あるいは文部科学省作成のものに限定されていますから、拡大教科書や拡大写本は教科書として認められていないわけですね。ただ単に教科書を拡大しただけで、拡大教科書が教科書として認められていない理由はどこにあるんでしょうか。

○矢野政府参考人 御指摘のように、内容等を変更することなく版型のみを拡大した図書でありましても、その図書が教科書として適切であるかどうかの検定を経たものではございませんので、そういう意味では検定教科書とは認めることはできないと思うわけでございます。
 しかし、教科書という点で考えますれば、それを例えば盲学校等におきまして、教育委員会が、学校教育法百七条に定めますいわゆる百七条本、教科用図書として採択をいたしますれば、それは教科書として扱われることが可能であるわけでございます。

○肥田分科員 私は、弱視の子供たちの教科書問題は、拡大教科書を法律上教科書として認めれば大きく前進すると思うわけですね。ですから、拡大教科書が法律で守られた教科書になれば、補償金を支払うことによって、著作者の許諾はとらなくても拡大教科書に著作物を掲載できる基本ルールができ上がると思っております。
 なぜこれまで拡大教科書を検定教科書として認めてこなかったのか、そして、今後どのような手順を踏めば検定教科書として認められるようになるのか、その道筋についてもあわせて御答弁をお願いします。

○矢野政府参考人 繰り返しになりますけれども、既存の検定教科書を拡大したいわゆる拡大教科書は、それ自体として文部科学大臣の教科書検定を経ているものではないわけでございますので、もととなる検定教科書の文字や図形の配置等を変形しているものであるために、それを検定教科書として位置づけることはできないものでございます。
 と申しますのは、類型のみを拡大した図書は、文字の太さや大きさ、図形の配列等の観点から、そのままでは児童生徒の使用になじみにくいものもあるわけでございまして、そういう意味で、検定教科書となるためには文部科学大臣の検定が必要であるわけでございます。
 なお、検定教科書として認められますためには、図書の発行者等がその図書の検定を文部科学大臣に申請いたしまして、文部科学大臣の検定に合格する必要があるわけでございます。

○肥田分科員 今直ちに検定教科書として認定することが難しいのであれば、それまでの移行措置として、やはり教育の機会均等という立場からも、拡大教科書は無償配付をすべきだと私は思います。
 なぜならば、現在、小中学校では教科書は無償とされ、盲学校の点字教科書の場合は高等部まで就学奨励費が保障されています。ところが、拡大教科書の場合、義務教育の期間であっても、保護者が負担するか、ボランティアの会費で賄うということが行われております。例えば、拡大教材研究会作成の五年生の「新しい算数」、今手元にございますこれですが、これが本体価格が一万九千二十円です。
 同じ国で育って、同じ教育基本法や日本国憲法のもとにありながら、教科書の無償の恩恵を受ける子供と、それから高額な教科書を購入しなければならない子供、その存在はいかにも不思議なんですね。ですから、法のもとの平等という点から見ましても、私は、この事実には説得性がないと思っております。  弱視の子供に対して拡大教科書を無償で提供するように、早急に改善をされるべきだと思いますが、いかがですか。

○矢野政府参考人 文字等を拡大いたしましたいわゆる拡大教科書につきましては、盲学校や弱視の特殊学級におきまして、都道府県等が採択いたしました場合には、いわゆる学校教育法百七条図書として無償給与できるようになっているわけでございまして、そういう意味で、現在、小中学部の国語、算数、数学において活用が図られているわけでございますので、今委員が御指摘の拡大教科書もこの百七条本でございますから、当然のことながら、それについて国が無償給与することになっております。
 このほか、そういう拡大教科書ではございませんけれども、ボランティア等が作成いたしました教科書以外の拡大の教材でございますが、それにつきましては、補助教材として盲学校や弱視の特殊学級で使用する場合には、拡大教材の購入費を就学奨励費の対象といたしているところでございますから、保護者がそれを購入する場合については、それについて都道府県あるいは市町村が負担をし、それについて国が補助をする、こういう仕組みになっているわけでございます。

○肥田分科員 今おっしゃっていただきましたのは、盲学校または弱視学級に通っている子供のことでございますね。私、先ほど普通学校それから普通学級に通っている子供の数をお尋ねしましたのは、恐らく先ほどおっしゃった数の倍以上の子供たちが普通学級に通っていると考えられます。
 ですから、今おっしゃったことは盲学校に通っている子供たちだけですよね。ですから、その普通学級の子供たちをどうこれから救っていくか、それが大事だと思うんですが、もう一度お願いします。

○矢野政府参考人 これは私どもと先生のお考えと異なるふうに思うわけでございますが、制度上の弱視の子供は、基本的には盲学校あるいは弱視の特殊学級において教育するということが適切であるというふうに私ども考えているわけでございます。したがって、最初お尋ねにございましたように、普通学級にどれだけの弱視の子供が在籍しているかについて、私ども把握していないと申し上げたのもそういう意味でございますので、その点は、先生の御指摘については、私どもと考えを異にしているということを申し上げざるを得ないと思います。

○肥田分科員 その部分につきましては、これからいろいろ議論をしていかなければいけないところだと思っております。私どもの考え方は全く逆でございます。
 それでは、拡大教科書をつくる場合なんですが、作成をする時間、これがもう本当に厳しいのですね。ですから、教科書が改訂されますと、拡大教科書は、出版社が次年度の四月までに作成しなければならないわけですね。
 ところが、著作権の許諾から本文の打ち直しまで、相当な作成時間が必要となります。人手も必要になります。御承知のように、拡大教科書を作成するためには、原本となる教科書二冊、そして紙やペンやのり代など高額の費用がかかるわけでございます。弱視の子供は一人一人の見え方が違いますから、その子供の個性に合わせて、字の大きさも色も違ったものにしなければいけない。子供一人一人の見え方に合わせた拡大教科書が必要なわけですが、この作成費用も今は、普通学校に通う子供たちは、保護者が自己負担するか、ボランティアの会費をいただくようになっております。
 この拡大教科書の作成費用、もう一度お尋ねしても恐らく考え方が違うということで、普通学級、普通学校に通う子供たちに救いの手を差し伸べられないという先ほどの御意見でございましたので、これをもうお聞きすることは今はいたしませんけれども、これは私は、実は子供たちにとっては大変な問題だと思っています。
 これまでの質疑の中で、やはり健常児と視覚障害者との間に、教育上の処遇の開きに加えて、また同じ視覚障害者の中で、点字教科書を使う子供と拡大教科書を使う子供の間にも法律上も財政上も大きな差があるということが明らかになっているわけでございます。健常児であれば、著作権法の三十三条で何の問題もなく、公表された著作物は教科用図書に掲載ができる。盲学校の子供は、学校教育法の百七条で教科用図書以外の教科用図書を教科書として使うことが許され、点字教科書は著作権法の三十七条で点字に複製することができる。この二つの法律のらち外に置かれているのが実は弱視児用の拡大教科書なんですね。
 このように、弱視の子供には本当に教育のバリアが幾重にも張りめぐらされていることを私は実感するわけですが、この際、弱視の子供たちの声に耳を傾けて、著作権法を改定して、実質的な教育の機会均等を実現するときだと私は思います。
 文部科学省生涯学習局は、図書館の例外規定の見直しについて文化庁に御要望をお出しになっておりますが、初等中等教育局も拡大教科書にかかわる著作権法の改正について文化庁に要望を出すときではないかと思いますが、いかがですか。

○矢野政府参考人 委員御指摘のように、検定教科書とそれから文部科学省著作教科書以外のいわゆる百七条図書に当たる拡大教科書、それから、通常の教科書の理解を助けるために作成いたしまする補助のための拡大教材、これにつきましては、御指摘のように著作権法三十三条が適用されていないことから、著作権者の許諾が必要とされているところでございます。
 私どもといたしましては、いわゆる拡大教科書を含む教材の作成が適切かつ円滑に行われることが必要と考えておりまして、これらの作成に当たり、簡便に許諾を得ることができるような仕組みにつきまして、御指摘の著作権法の改正も含めまして検討を始めたところでございまして、そういう意味で、今後そういう検討の中で、著作権法の改正しかそういう簡便な方法がない、あるいは、それが一番望ましい、そういうことになりますれば、著作権法の改正の要望を文化庁に対して行ってまいりたいと考えるものでございます。

○肥田分科員 ぜひその検討を早急にお願い申し上げたいと思います。
 文化庁にお尋ねしますが、平成十二年に文部科学省生涯学習局から提出されました図書館等にかかわる例外規定の見直しについて、文化審議会で検討されていると伺っております。文化審議会で検討されているこの状況、それから、要望を受けられたのはいつごろであるか、その状況をちょっと教えてください。

○銭谷政府参考人 著作権制度のあり方につきましては、著作者などの権利の強化の側面と著作物利用が容易になるような例外規定の見直し、両面があるわけでございまして、現在、文化審議会の著作権分科会において、この例外規定の見直しについて検討を進めております。具体的には二つございまして、一つが、教育目的の利用に関する例外、もう一つが、今お話のございました図書館における利用に関する例外についてでございます。
 昨年の審議の状況でございますが、この著作権分科会におきまして問題点を整理いたしまして、審議経過の概要という形で報告にまとめてございます。本年は、それを踏まえまして、こういう例外規定を設ける場合には、権利者、利用者双方、それぞれ意見があるわけでございますので、権利者、利用者双方の当事者で構成する協議の場を設けまして、さらに具体的な検討を進めていくことといたしております。
 なお、お話のございました生涯学習局からの要望でございますけれども、平成十二年の九月に、当時の生涯学習局長から文化庁あてに、コンピューター、インターネット等を活用した著作物等の教育利用に関する生涯学習局に置かれました調査研究協力者会議の報告についてということで、私どもの方に要望を添えて御報告をいただいているという状況でございます。

○肥田分科員 文化庁にさらにお伺いしますが、文科省の初等中等教育局から拡大教科書にかかわる著作権法改正の要望が提出された場合は、図書館にかかわる例外規定見直しと同じように、著作権にかかわる審議会で適切な検討を始めてくださいますか。

○銭谷政府参考人 先ほど、いわゆる拡大教科書の問題につきまして初等中等教育局長から御答弁がございましたけれども、著作権に関する課題も含めて、私どもとしては、現在あるいはこれから初等中等教育局で総合的な検討が進められるものと承知をいたしているわけでございます。
 そのような検討の結果、弱視の子供たちの教育を充実する観点から、仮にでございますけれども、著作権法の改正が必要であると判断をされて、具体的な要望が私どもにあった場合には、著作権分科会において必要な審議を進めてまいりたいというふうに考えております。

○肥田分科員 大臣、このやりとりを聞いていただきまして、やはり弱視の子供も健常児と同じ情報を手にすることが大切だと思うんですね。我々は、確かに、障害児に関しての考え方がそれぞれ違うかもしれない。しかし、私は、子供の立場に立ちたい。今、普通学校にいる子供たちの立場に立って、一生懸命、ちっちゃい文字の教科書をルーペでのぞきながら勉強している子供の姿を考えたら、私どもは、省庁がこういう考えを持っている、ああいう考えを持っている、我々はそうではない、そういうこと以前に、なるべく早くその子供たちの不便を救う道を、大臣、考えていただきたいと思います。よろしくお願いします。どうぞ。

○遠山国務大臣 弱視の子供たちも、やはり、一人一人の障害の程度や状況に応じて教育の手だてが十分に整えられるということは大変大事でございます。
 今のお話を伺っておりまして、そう簡単に右から左にというわけにもいかず、法改正の問題、あるいは手続の問題、財政負担の問題等々さまざまあるようでございますけれども、そういった問題につきましても十分に検討した上で、先生御指摘の点について、私としては、教材のあり方という極めて基本的な問題でございますので、この問題について検討を進めて、一層の充実を図りたいと考えます。

○肥田分科員 ありがとうございました。


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